油屋本舗

油屋本舗

元潤滑油 専門職(※守秘義務多々あり)が、皆さんの知らないオイル/添加剤の本当の話/真実/裏話を語ります。

 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 
 

5June 「ロッカーアームのカジリの原因は、オイルの粘度が合っていないのでしょうか?」その②

では、次に具体的な事象の検証>いわゆる「本編」を説明していくことにします。

先日、「ロッカーアームのカジリの原因は、オイルの粘度が合っていないのでしょうか?」のお問い合せに対して、一応は回答したのですが、今一つしっくり来ない/モヤモヤする感じで、1日過ごしていました。

今回お問い合せいただいたお客様は、まだお付合いが浅く、会話のやり取りもこちらが誘導するような/想像するようなやり取りをしないといけない感じでしたから。
(お付合いの長い方の場合は、簡単なご質問なら、会話だけでも鮮明に頭の中に描写できるようなやり取りが出来ますし、少し難解(そうな)ご質問の場合は、お問い合せ時に写真を添付してきてくれる場合がほとんどです。)

どうも今一つ腑に落ちない感じで(いわゆる嫌な感じがするってやつです)終日過ごしていたのですが、お問い合せいただいたユーザーさんが、かなりこまめにブログをアップされているのを思い出し、いそいそとそのブログを見てみたんです。
予想通り、今回のトラブルの写真(部品等)を、かなりアップされていました。

結論から申し上げると、そのアップされた写真を何点か見るだけで、今回のトラブルの原因は、はっきり分かりました。

あまり端折って結論づけてしまっても、一般の方には理解できないと思いますから、今回は順を追って説明していくことにいたします。
(かなり長文になりますが、宜しくお付合い下さい。)

※今回の写真転用につきましては、ご本人様の許可を頂いております。
※お客様のお名前、製品メーカー名、関係業者名等は、一切オープンにいたしません。(ご質問いただいても一切お答えしません。)あしからず、ご了承願います。

■フェーズ1:ロッカーアームのカジリ痕自体がおかしい≒通常のカジリ痕と違う。

トラブル=フェイス面/チップ面のカジリを起こしたのがこのロッカーアーム/この状態です。

ロッカーアームカジリ痕_1

ロッカーアームカジリ痕_2

おかしいですよね?
通常、ロッカーアームのフェイス面/チップ面に(いわゆる)カジリ痕が生じる場合、この写真のように「線状」ではなく、3mm~6mmぐらいの幅の「面状」で症状が出るのが一般的です。

また、フェイス面/チップ面のトラブル症状は、
曇り>スカッヘング(軽度の擦り傷状の傷)>荒れ>焼付き痕(2STエンジンが焼付いた時のようなシリンダー痕)
の順番で、症状が現れてくるはずです。

この写真を見るだけでも、通常のカジリ≒トラブルじゃないということが判断できます。

■フェーズ2:油脂類/潤滑系統に問題はない。

じゃぁそもそも使用した油脂類(オイル/添加剤(オイル配合済み分も含む))に問題が合ったのではないか?
もしくは、油脂類には問題なかったが、オイルポンプの突発的な故障や、何らかの原因でオイルラインが閉塞してなどの原因で、潤滑不良が起こったのではないか?
という原因が考えられますが、答え/結論として、NOです!

もし、油脂類の性状性能に問題が原因、もしくは、ハードトラブルの潤滑不良が原因だとしたら、もっと早いタイミングで&もっと大きな/深刻な症状で、カムジャーナル部分に、はっきり分かる症状が出るはずです。

でも、この写真の通り、全く問題は発生していません!

ですから、選択したオイルの性状性能にも、選択したオイルの粘度にも、何らかの潤滑系ハードトラブルでもないと判断がつきます!

カムジャーナル_1

カムジャーナル_2

カムホルダ

むしろ、かなり良好な状態とすら言えると思います!!

(某有名エンジンチューナーさんが見たら、「まだナラシも終わっていない!」って、怒られちゃうかもしれませんね!?(爆)<知ってる人は知っている&ネタバレ厳禁(笑))

余談:その①
組み上げてからどのくらい使用したエンジンなのかは聞き忘れましたが、「ナラシ」とは、いわゆる「オイルのナラシ」で十分なんです。
現状のエンジン、純正パーツ、リプレイスパーツ等(※いずれも国内製)は、寸法管理はかなり出ていますから、擦り挙げるように磨耗させるようないわゆる「ナラシ」は必要ありません。(>意図的に磨耗させるなんてもった無いことは論外でしょ?(笑))
使用するオイルが面粗度を履形成(※電子顕微鏡の手前~電子顕微鏡レベル)し、配合添加剤吸着膜の形成or再置換で十分なのです。(≒SRV試験計測時の「予備シュウ動≒5分程度」相当で、十分なんですよ。)

余談:その②
現状の(まともな)オイルは、配合されている添加剤類の吸着膜/反応膜が機能する混合潤滑領域>特にEHL領域を重視しています。ですから、無極性指数が高く(≒徹底した無極性)&清浄性/清浄分散性が高いものを求められます。
ですから、この項の1枚目の写真(※オイルが溜まっていますから、ヘッドカバーをめくっただけの状態と思われます)が、理想型or教科書になります。
一般市販オイルを選択する際の、一つの目安になると思います。
(>ですから、極圧性や極性を謳った製品は、元々論外なんです(爆))

■フェーズ3:原因は、汎用DLCを施工した社外カム

原因は、これ↓

汎用DLCハイカム

カムプロファイル面に施工された稚拙な汎用DLCが原因だと思われます。

この独特の色合いは、間違いなくDLCのものだと思われます。
※水素レスDLCか汎用DLCかは、目視上では判別できません。

軟窒化処理でも、IPでも、CrNでも、WPCでもないと思われます。
(ユーザーさんは、WPC処理だと思い込んでおられたようです・・・。)

●なぜ、水素レスDLCじゃなくて汎用DLCと言い切れるのか?

理由は簡単です。
弊社4STオイルは水素レスDLCに全て対応させてあります。
>水素レスDLCであれば、今回のようなロッカーアームのカジリは、まず発生するはありません。
もちろん、軟窒化処理も、IPも、CrNも、WPCも、本来油脂(>添加剤類)に制約はありませんから、問題が出るはずないのです。

▲汎用DLCは、本来シュウ動部には使用しないのがセオリーです。

余談:その③
水素レスDLC対応油は、日産純正油(4輪専用)と、レーシングTaSK4STオイル(EVO.4TRR/4TRS/4TSS※左記は4輪/2輪兼用油、EVO.4TSECシリーズは4輪ストリート専用油)しか、今日現在ありません。

余談:その④
EVO.4TRR/4TRS/4TSSシリーズは、日産から水素レスDLC施工部品使用車がリリースされたため、大急ぎでマイナーチェンジ>対応させたものです。
上記4STオイルシリーズは、2輪/4輪兼用油≒2輪車のミッションセクション対応(<高い極圧性が求められます)ので、本格的に水素レスDLCの素性を活かす配合処方というより、問題がないように再配合処方したものになります。
といっても、何かの基剤をアドオンすれば対応できるようないわゆる「小学校の理科の実験(※あれにこれを混ぜてみたいな)」は通用しませんから、実は、基油部分から全て配合処方をやり直してあります。
といっても、使用ユーザーさんには、結果的に水素レス対応&約6%のフリクションダウン程度のことですから、マイナーチェンジとアナウンスしてあります。
本格的に水素レスDLCの素性を活かし&徹底した低μ特性を特化させたものは、EVO.4SECシリーズになります。
極圧性を若干犠牲にする代わりに、カタログデータ燃費を簡単に上回るほど低フリクション化を徹底した製品になります。(そのため、2輪のミッションセクションの潤滑に適さないため、4輪専用油としている訳です。)
いずれも、N社のパテントに抵触しないように配合処方しなければならないので、実は結構大変でした。(>で、ふんだんに高単価配合処方にして逃げました(笑))

●前回まで使用してたカムでトラブルは表面化しなかったのに、今回変更したカムで表面化したのはなぜ?

前回まで使用していたカムも、ユーザーさんブログ写真や部品メーカーサイト写真を見るに、同じく汎用DLCが施工されているようです。
で、違いはプロファイルにあるようで、今回カジリを起こしたカムは、リフト量は同じで作用角を大幅に拡大したものだそうです。
基点で衝撃的な加重がドンと掛かって>スタベーションしている時間がかなり延長され>ロッカーアームのフェイス面側に油膜(※添加剤吸着膜/反応膜含む)が終盤(プロファイルが離れる直前)に激しい境界潤滑による衝撃に近い磨耗を引き起こした。そんなププロセスであったと思います。
ギリギリまでロッカーアーム側のタスクオイルががんばったから、今回の写真のように、基点と終点(付近)の2箇所に線状のカジリを生じたのだと思います。

●(しかも)DLC施工面のRa値/Rh値がコントロール/管理されていない。

(たぶん、該当の部品メーカーさんは、言っていることすら分かってないと思います・・・。)

DLCの重要な必須要件として、施工するシュウ動面のRa値/Rh値の管理/コントロールがあります。
これは、極めて重要な項目になります。
(※いろいろ理由があるのですが、今回は割愛します。)

例えば、
・平均的なRa値のカム・プロファイルフェイス面で、
 &
・水素レスDLC+水素レスDLC非対応油(=一般的な潤滑油&そこそこ性状がまともなもの)
 or
・汎用DLC+一般的な潤滑油&そこそこ性状がまともなもの
の場合で説明してみましょう。

上記ののいずれかのパターンであっても、対になっているシュウ動面(>以下「対シュウ動面」)には潤滑油(特に配合添加剤類の吸着膜)の性状が立ち上がります。対シュウ動面には、ギリギリの高負荷時まで潤滑を維持しようとします。
>DLC系の怖いところは、その高い硬度故に、強烈に対シュウ動面への攻撃をします。強烈に磨耗させる/削ることです。(通称「アタック」と言います。)
>>上記の組合わせの場合、ギリギリの負荷時まで対シュウ動側の油膜が保護してくれますが、混合潤滑領域が全く効かない&高い硬度のDLC面が、強烈にアタックして、通常の数倍~数十倍の勢いで対シュウ動面を磨耗させていきます。
>>>ただし、(今回のように、カム・プロファイル面の場合、少なくてもRa値はほぼ決まった値内に収まるはず(納めなくてはならない)ですので)通常は、目視上、ツルツルの鏡面状になっていくのが普通です。

今回の一連の写真を見ると、ロッカーアームのフェイス面側が鏡面状に磨耗していませんから、Ra値の管理/コントロールが出来ていないことが分かります・・・。
DLC施工面は、ロッカーアームに限らず、そのシュウ動部品毎に、一つづつこういった値も検証していかないとならないんです。(この検証も大変&膨大な手間暇になります。)
DLCって、闇雲に施工すれば良いとう訳ではないのです。

■フェーズ4:今回お問い合せいただいたお客様その後の対応

今回お問い合せいただいたユーザー様は、とりあえず、前回まで使用していたナロープロファイルのカムに戻すそうです。
>おそらく、それで、ロッカーアームへのアタックも軽減されるでしょうし、カジリが発生しても出力損出は軽微なことに収まると思われます。
(今回のカジリも、どうやら、ヘッドを開けてみて初めて気がついたようですし。)

また、弊社からは、よりマージンを増やす目的で、汎用DLC施工面(>正確には、その対シュウ動面)へEVO.TLFOMの塗布or湿式クラッチ車向けTLFOMコーティング処理と、カジリが派生して出力に影響が出た場合の出力的な補填として、EVO.BOOSTの併用をお勧めしておきました。

一番マズイ/問題と感じたのは、今まで説明したことに加えて、
部品メーカーや関連業者が非を認めない(≒「こういったトラブルは、今まで報告されていない」と言い張る)ことだと思います。

今回のユーザー様は、初回トラブル(ロッカーアームのカジリ)を見つけた当日&お電話で弊社に問い合せいただいた当日&その後根本的な原因をご説明した当日、いずれの日にも、ネットで同様のトラブルが発生していないか調べたり、何人もの友人にも電話して確認したそうです。
>結果、同様のトラブル(同カムでのカジリ)は、かなりの件数発生していることを確認されているとのことです・・・。

(なんか嫌な実勢ですよね・・・。同業種だけでなく、こうゆう空気って携帯とかの業界でもよく耳にしますし・・・。)

今回のお客様の場合、弊社EVO.4TRS28を使用されていましたから、この程度のカジリで済んだのだと思いますが、一般市販油で同様のトラブルが発生した場合は、おそらく、2STエンジンがロックするような激しい焼付き状の&広範囲でのカジリが発生するのだろうと想像出来ます。

■その他所感

誤解無きように明記していておきますが、
水素レスDLC/汎用DLCの適用素材の範囲を、鋳造物やその他まで広範囲に可能にした技術は、世界的にも革新的/特出した施工技術です!
ただ、水素レスDLC関連から覚えた若干のスキルからいうと、要求項目/管理項目が多過ぎ&高度過ぎ&シビア過ぎなので、心配していたんです。
一般的な表面処理加工の勢い(ノリ)で、安直/稚拙に展開してしまうと、大変なことになっちゃうんじゃないかと・・・。

実際、個人的にクローズな形で、何回か連絡(忠告)したこともあったのですが、
どうやら煙たがられてしまったようで・・・(^^;)
(自分の性格をご存知の方ならお分かりだと思いますが、砂を掛けられたり、本当に気に入らない相手には、容赦なく&理整然と&徹底的に攻撃します(笑)。本当に心配していたんですよ・・・。)
DLC関係は、本当に心配していたんですよ・・・。

現在、自分が危惧したように、結構大変なことになっちゃっているような気がします・・・。
ちょっとググれば、そこそこ大手の業界関連会社/企業から中小規模の名前が通った会社/企業、更に小規模のショップ、果てはサスペンションメンテナンス業者という範囲まで、わらわらDLC!DLC!とこれでもかと検索に上がってくるのが実状です・・・。

自分は「油屋」ということもありますが、表面処理関係は、もっとコンベンショナルな/油脂を選ばないものの方が良いのではないか?と思っています。
WPC関係とか、カシマコートとか、IPとか。
確かにDLCに比べれば表面硬度も高くはありませんしコート層の厚みも薄いですから、施工箇所/部品もある程度の制約が存在すると思いますし、施工部品の交換サイクルも早くなると思います。が、遥かに安定して&デメリットは少ない。少なくても、要求項目&管理工程の複雑さ/難解さは少ない。

とどのつまり、油脂類軽視の溜まりに溜まったツケが、ここに来てドンって吹き出してしまった一つの事例ような気がしてなりません・・・。

※重ねて誤解無きように明記しておきますが、
自分から特定の部品メーカーや関連業者を攻撃するようなことはありません!
また、今回該当/関係する業者から砂を掛けられたり、仲違いが生じたこともありません!
今回はただ、自分の製品ユーザー様が被害者になってしまった事例でしたので、少し深く説明しただけのことです。
重ねて、誤解無きようにお願いいたします。


次は(最後に)、今回に関連した話しの「技術編(※補足+@)」をアップする予定ですが、一連にまつわる話しへのご判断は、最後の項まで熟読されてから、各自ご判断願います<(_ _)>。









スポンサーサイト
 
<- 06 2014 ->
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
プロフィール

佐式

Author:佐式
Racing TaSK レーシング タスク/有限会社オフィスタスク 代表の藤野隆司です。

皆さんが、日頃見聞きすることはない/できない情報を提供することで、少しでもお役に立てれば!という思いから、「油屋本舗」を開設いたした次第です。

最新トラックバック
全記事表示リンク
アクセス ありがとうございます
FC2ブログ ランキング
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
車・バイク
708位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
45位
アクセスランキングを見る>>
カレンダー
05 | 2014/06 | 07
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロマガ購読者数

現在0人が購読中です

ブロマガ一覧を見る

ブロマガ購読者向けメールフォーム


Archive RSS Login
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。